夏の終わり頃、大学の授業中に、筆記体で「truth」という文字を書いた時、その文字が浮かび上がり、「真実」に見えた。それが英漢字の誕生だった。
この「Truth」に出会うまで、ニューヨークやパリの多くの美術をこの目で見るため、旅にでながら、アートが自由であることを理解していった。
そんな中で、書道がアートになる瞬間が、「truth+真実」から生まれた。
ただこの英漢字を広めることは、そんな簡単なものでなかった。
どうやって自分の未来を切り開いていいのかわからない22歳。
思い通りに行かない日々。
そんな焦りと、時間は、
私を大阪駅の歩道橋に導いた。
座る勇気を振り絞った。
昔から使っているカバンに、いっぱいの筆と墨を入れて。
初めて路上に座った時、緊張のあまり筆が震えて仕方なかった。
ただその勇気は、足を止めてくれるお客様によって、自分の新しい場所だと気づかせてくれた。
最初のアトリエは、大阪駅の歩道橋だった。
路上で筆をとり、とにかく前に進むために、
自分のできる限りのことをしてきた。
必死だった。
そんな中で縁あって、舞い込んできた話が初めての「英漢字」の個展。
そこは阪急百貨店。
突然きた、この大きな仕事に、緊張以上に嬉しさや、感動が込み上げた。
もしこれでダメだったら、私が思っている「英漢字」は、世間が面白いと思うアートではないだろうと思った。
何を着ていいか、どう英漢字をアピールしたらいいか、わからない私の「芸術家」としてのスタート。
着る服もなく、和柄のアロハを毎日きて会場にたったが、作家とは思われなくて苦労した。
でも最終日、答えは、阪急の小さな会場の壁が全てを教えてくれた。
私には英漢字しかないことを。